つれづれ雑記

日常と脳内妄想とネタバレの倉庫。
とんでもなく万人受けしない内容なのは自覚アリ。
最近ヲトメに手芸作品も上げてます。
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4日前の続きナリ。
4日目なので8日の続きをば。
想像すると失笑が漏れそうなシーンですが、まあお納めください。


職場には僅か10メートルくらいですが金木犀の並木がありまして、今すごく香りがよいです。
私の家のまわりでも、3分の1くらいの家が庭に植えていたりして、うきうきで毎日出勤しています。






「おいアーチャー、それは何の嫌がらせだ。喧嘩売ってんなら買うぞ」

 風呂から上がったランサーは、ガシガシと豪快に頭を拭きながら不機嫌そうに眉を寄せて呟いた。

「別に喧嘩を売っているつもりはない。私も花が咲いているのに気づいて気まぐれを起こしてみただけだ」

 すました顔で応える弓兵の手には、甘い香りのするグラス。
 まるい氷が浮かぶ、とろりとほのかに金色の甘い甘い果実酒からは、あの花の香りが。

「桂花陳酒という。白葡萄酒に金木犀をつけた酒だ。
 君には水のようなアルコール度数だと思うが……たまにはいいだろう」

 手渡されたグラスに鼻を寄せてみると、アルコールの香りと花の香りでくらりとするような気がする。

 花そのものの香りより、この癖のあるような酒の香りのほうが遥かに弓兵に似合いに思えて、彼はひそりと笑った。





「何を笑っているのかね」

 にやにやと性質の悪そうな笑いをやめない槍兵に、彼はため息混じりに問いかけた。

「いーや、別に?お前にしてはずいぶんと夢見がちなことをやらかしてくれるな、と思って」
「……貴様の言ってることは理解できん」

 自分が似合わないことをやっていると自覚しているだけに、そう吐き捨てて背を向けるしか術がない。
 大体にして―――


「この時間そのものが、夢だからな」


 これは、夢だ。
 一人の生人と、一人の死人が見た夢。
 それなのにこんなに、全てが現実じみているのは、何の嫌がらせか。
 夢ならば夢らしく、朧でいてほしいものを。
 手に入らないものを望んでしまいそうになる。

 みんなが夢を見ている中で、正気を保っているのはたとえようも無いほど孤独だ。
 正気のものが後何人か存在しているとしても。
 己の存在そのものが夢と知っているから尚更。


「いつか忘れる、夢だ」

「そうだな」

 あっさりと頷かれ、しかしその後続けられた「でも、」という呟きに彼を見遣る。


「覚えていられるといいな」

 そういって、青い槍兵は微笑った。

「せめて、この香りくらい」

 さらりと紡がれた言葉は、未練というには軽く、けれど祈りのような真摯さも滲ませていた。

「……嗅覚は、視覚や聴覚より記憶に結びつきやすいそうだ」

 無理だと切り捨てるのは容易かった。
 けれど、ほんの少し、期待してみるのもいいかと思った。

「貴様のその嗅覚なら、あるいは覚えているかもしれんな」
「……もしかして、暗に犬扱いしてねぇか?お前」
「さて、気のせいではないかね?」

 不本意そうに眉を寄せる彼に笑い返して、花の香りの酒を二人のグラスに注ぎ足した。
| 狭霧あや | Fate | 20:59 | comments(0) | trackbacks(0) |
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